長福 「CLOSING THE DISTANCE」を推進し、スマホ時代の「スマートポータル構想」実現にむけて、LINEは、コミュニケーションアプリとしてスタートした〈LINE〉を中心にして、「コンテンツプラットフォーム」「ライフプラットフォーム」という2系統のコンセプトを持つ新しいサービスを、どんどんリリースし、〈LINE〉と連携して運用している。「コンテンツプラットフォーム」は〈LINE GAME〉や〈LINE NEWS〉などのコンテンツサービスのこと。「ライフプラットフォーム」は〈LINE Pay〉、〈LINE ショッピング〉など生活を便利にするサービスのことで、〈LINE@〉は「ライフプラットフォーム」に分類されるサービスの1つだ。

LINE Business Partnersの長福久弘氏
LINE Business Partnersの長福久弘氏

〈LINE@〉は法人(店舗)も活用できるLINEアカウントであり、まず法人(店舗)が〈LINE@〉のアカウントを作成し、公開する。すると、公開された各アカウントに対してQRコードが生成されるので、このQRコードを自社HPに掲載したり、店舗のPOPやチラシに印刷するなどして、来店客にQRコードを使って「友だち登録」してもらう。こうすれば、〈LINE@〉のアカウントを持つ法人(店舗)は、通常の〈LINE〉の友達間と同様のメッセージを、利用客に送れるようになる。

普段から〈LINE〉をコミュニケーションツールとして使っている利用客は、自分の友だちから来るメッセージも、法人(店舗)から来るメッセージも同じような形式で受け取るので、無視されにくく、しっかり見てもらえる可能性が高い。そのため、プッシュ型のメッセージで、再来店のきっかけを作れることが〈LINE@〉の最大の強みだという。店舗の再来店の障害になるのは「忘れる」「飽きる」「卒業する」だと言われるが、中でも「忘れる」が一番の要因。〈LINE@〉は、店の存在を思い出してもらうために、メッセージ以外にも、用意された多くの機能を駆使できる。

メッセージを一括配信する以外にも、〈LINE@〉内でクーポンを作って配信したり、ショップカードを作成・運用したりできる。また、利用客との関係を密にするために、利用するケースが増えているのが「1:1(ワントゥーワン)トーク」機能だ。例えば、店長が勤務時間内にこのモードをオンにしておけば、「友だち登録」してくれている利用客との間で、リアルタイムのトークができる。忙しい時間帯には「1:1トークモード」をオフにすると「自動応答モード」に切り替わるので、時間が空いたときに対応することも可能だ。

長福 利用客は、お店に対して「今日は席空いてますか?」と気軽に席の照会をしたり、「忘れ物しちゃったんですが、こんなものが席にありませんでしたか?」という問い合わせをしたりできる。忘れ物などの場合、電車の中で気がついても、電話はできにくいが、〈LINE〉ならば気軽に問い合わせができるので、利用する人が増えている。〈LINE〉はカジュアルツールなので、「1:1トークモード」で頻繁にコミュニケーションをとれば、利用客から特別な親近感を感じてもらえるというメリットもある。

ぜひ使ってもらいたいのが「リサーチ機能」だ。アンケートを作成し、「友だち登録」している利用客に趣味嗜好の調査を実施しながら、店舗のファン作りに取り組める。ホテルチェーンの事例では、ホテルのレストランに「あったら嬉しい朝メニュー」について聞き、朝カレー、ソーセージ、おにぎりのようなメニューを新しく作って、ファンを増やすという成果をあげた。この場合、アンケートに答えてもらうこと自体が、エンゲージメント(深い関係性)と呼ばれるマーケティング手法として評価されている。ともにアクションを起こすことで、そのブランドのファンになるきっかけができると言える。

このように、法人(店舗)は、〈LINE@〉を使うことによって、24時間365日、利用客のすぐ近くにいる親しみ深い存在になれる。この親近感のために、〈LINE@〉は利用客の“来店スイッチ”を押せるのだ。

■「自力集客」で常連のお客様を増やす!~ウェブ予約と予約管理システム(予約台帳)ができること

予約/顧客台帳管理サービス〈トレタ〉を開発・提供するトレタ(東京・五反田)は、早くから外食ITを牽引してきたITベンダーの1つ。同社セールスグループマネージャーの遠藤康史氏は、「電話に対する概念は1985年生まれ(現在32歳)を境にしてまったく違っている」と指摘する。85年は日本電信電話公社(NTT)が民営化され、新規参入が可能になった年。電話機はそれまでのダイヤルを回す仕組みの黒電話から、デザインにこだわったプッシュ回線の電話に替わっていき、電話という存在も「一家に1台」から「1人に1台」の連絡ツールに変わっていく。

遠藤 「一家に1台」時代の人は「予約は電話でいいじゃないか」という意見の人が多いが、「1人に1台」の時代に育った人は、電話でしか予約が取れないと知ると、そこで予約を断念してしまうことが多い。また、「一家に1台」時代の人でも、通勤通学の途中やランチの時間に電話で予約を取る行為はなかなかハードルが高い。ところが、ウェブ予約が可能になると、いつでも、スマートフォンから予約を完了できるので、「1人に1台」時代の人はもちろん、「一家に1台」時代の人も、気軽に予約を入れる可能性が高くなる。

トレタの遠藤康史氏
トレタの遠藤康史氏

ウェブ予約には、電話予約にはないメリットもある。先日、札幌の有名レストランがウェブ予約を始めた。なぜ始めたのかと聞いたら、こういう答えだった。そのレストランは客単価が8000円~1万円くらいの高級な店なので、普通の人は何かの記念日でないと利用しない。ある日、学生らしい若い男女2人から、予約の電話が入った。その際、お店の人は「お祝いごとですか?」と聞いたが、「普通の食事です」という答えだった。ところが、実際に来店されると、その日は彼女の誕生日だったと分かる。そういったケースは従来から多かったという。ところが、ウェブ予約に「ご要望欄」を設定しておくと、「実は彼女の誕生日なので、2人は8時にお店に行くが、8時45分には僕がトイレに行くので、そこに花を用意しておいて欲しい。彼女に、サプライズで渡したいので」といった要望が入るようになった。若い人は電話ではあまり立ち入った話はしないが、ウェブ予約のメッセージでは、気軽に要望を書いてくれるケースが多い。結果的に、お店にとっても利用客にとっても、満足度が高くなるのだ。

こうしたメリットが期待できるウェブ予約を実現するためには、大きく分けて3つの方法があると遠藤氏は説明する。1つ目は、自社HP上に予約フォームを作る「自社制作型」。コストは高く、運用もハードルが高いものの、自由度の高い活用が可能だ。2つ目は「クラウドサービス利用型」。各種あるクラウドサービスを使って、比較的安価にウェブ予約が実現できるが、サービスが多数あるので、自社に合っているかどうかの見極めが重要になる。3つ目は「ポータルサイト特化型」。グルメサイトなどのポータルサイトに掲載料を支払って、手軽にウェブ予約をスタートできるが、顧客データを自社で管理できないリスクがある。こうした3つの方法や、その組み合わせによって、ウェブ予約を受けられる環境を作った上で、無料で登録できる〈Googleマイビジネス〉などに登録して、地名とセットで検索される「ローカル検索」対策を行うことも重要だ。

そして〈トレタ〉などの予約管理システムを使って、ウェブ予約から顧客台帳が自動的に生成されるようにするとさらにいい。顧客Aは1度目はウェブ予約で来店したが、2度目は予約なしで来店(ウォークイン)し、それぞれにどういうメニューを注文したといった顧客情報データが、一元管理できるようになる。こういう体制が整ったら、顧客データに基づいた2つの施策――「①来店回数に応じた接客②顧客情報の共有」を実施することで、効率的な常連客化ができるという。

遠藤 赤坂の老舗焼肉店(客単価8000円、60席)の事例だが、2015年の前半に〈トレタ〉を導入していただいた後、その年の12月の売上が昨年対比で500万円アップした。もちろん〈トレタ〉だけの成果ではなく、店舗をあげての取り組みが実を結んだ結果だ。こちらのお店では、予約管理サービスによって自動で顧客台帳を作り、個客データをスタッフ間で共有することで、利用客の来店回数に基づく「ホスピタリティの仕組み化」が可能になった。その内容は「2回目来店で肉寿司一貫サービス/3回目来店で特上カルビ一品サービス/4回目来店で特上ロース一品サービス」「2回目以降の来店者に対して必ず店長が各テーブルを回って挨拶」という2本柱だった。従来は、利用客が何回目の来店かというデータは、店長の頭の中だけにしか存在しなかった。その場合、店長の頭の中では「この利用客は2回目の来店だ」と確信できたとしても、もしかするとほかの隠れ常連さんがいて、その日が3回目の来店かも知れない。その日、店長の判断で顔見知りの利用客にサービスしたら、3回目の利用客は「顔見知りだけひいきする店なんだ」と判断し、せっかくのサービスがマイナス効果になってしまいかねない。

それなら、店内に「2回目の来店時には肉寿司一貫をサービスします。ぜひお申し出ください」というお知らせを、掲示しておけばいいと思うかも知れない。ところが、そういう手法をとると、せっかくのサービスがホスピタリティにならず、当然の権利だと受け取られかねない。そう解釈した利用客は、渡された「肉寿司」サービスを見て、「たった、これだけ?」と思って、がっかりしてしまう。一方、何の表示もなく、「2回目のご来店ありがとうございます。よろしければ、この肉寿司をお召し上がりください」と言われて、肉寿司を提供されると、利用客にとっては大きなサプライズになるので、感動する。琴線に触れるので、次の来店につながる。顧客台帳によって、すべての利用客の来店回数がはっきり把握でき、スタッフ間で共有できているからこそ、隠れ常連を見逃すこともなく、サプライズでのサービスが可能になるのだ。

〈トレタ〉に蓄積された予約データを分析してみたところ、2回目に来店する利用客は新規顧客の1割程度という結果が出ている。3回目はその半分になり、その後はさらに3分の1になるというふうに、リピート率はどんどん下がっていく。だからこそ、2回目の利用客をきちんともてなし、3回目の利用客を少しでも増やすことができれば、効率的に確実に常連客を増やすという意味で、その効果は大きい。

遠藤 マーケティングの世界では「2:8の法則」(パレートの法則)といって、「全体の2割の優良顧客が売上の8割をあげる」というのが鉄則だ。繁盛店の経営は基本的に常連客が支えている。常連客を増やすために、特に大切なのは2回目の来店客へのおもてなし。新規顧客の1割しかいない2回目の来店客は、その店の特徴などが琴線に触れたために、その店を記憶にとどめて再来店してくれたのだから、しっかりおもてなしをすれば、常連客になってくれる可能性が高い。〈トレタ〉などの予約管理システムは、こうした施策のお手伝いができる有力なツールだ。

■集客&売上アップを叶える「店舗向けアプリ」の実力とは?~低価格・短期間で導入できる自社アプリで多彩な施策が可能に

GMO TECH O2O事業部メディアプロデュース部マーケティンググループの谷内亮介マネージャーは、店舗向けアプリ作成・運用サービス〈GMOアップカプセル〉の企画・提供・運用・プロモーションを手がける。〈GMOアップカプセル〉は、スマートフォン向けアプリの基本的な機能をテンプレート化することによって、これまで一般的だったアプリに比べて低価格で店舗向けアプリを作成し、運用できるサービスだ。

谷内 従来、店舗向けのアプリをいちから開発して、世に出すと安くても数百万円、大規模なものだと数千万円のコスト(初期費用)がかかっていた。それが最近になって、われわれのように、アプリを低価格、短期間で開発するサービスが出てきた。初期費用は数十万円、開発期間も数カ月ですむ。運用のコストも低い。そのため、いわゆる個店、1店舗のお店でも、自前のアプリを作って、運用することが可能になってきた。もちろん、大手チェーン店でも、テンプレート化した機能で用が足りるのであれば、従来より格段に低いコストで、自社アプリを作成、運用できるようになった。