各種カードのまとめサービス〈スマホサイフ〉で
ポイントシステムを低コストで運用し
アプリならではの販促効果を実現。
スマホサイフ画面と電子スタンプ

自社アプリを製作・運用するには、コスト面からも運用スキルの面からも荷が重い。かといって、紙や磁気のポイントカードは販促効果が分かりにくく、しかも意外に手間も費用もかさむ。どうにかしたいが――。こんな悩みを抱える外食企業にとって、耳よりな新しい選択肢が〈スマホサイフ〉だ。CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)の子会社で、Tポイントプログラムの運営、Tポイントの管理等、データベースマーケティング事業を行うCCCマーケティング(東京・渋谷、北村和彦社長)が16年7月20日から開始した新しいスマートフォン向けアプリ&サービスである。〈スマホサイフ〉の利用者は、スマホ上のアプリでTカードや電子マネーの楽天Edyを利用でき、同時に複数の〈スマホサイフ〉加盟店(物販・飲食)のポイントシステムも利用可能となる。どんな使い方、メリットがあり、どの程度の費用で加盟できるのだろうか。

■人気のショッピングモールに出店するような販促効果

自社アプリを運用している大手企業にとって、共通した課題は、いかに利用客にアプリをダウンロードしてもらい、使ってもらうかだ。多くの企業の自社アプリ、公式アプリが乱立し、激しく競争している現在、利用者はよほど気に入った店や企業のアプリでなければ、そもそもダウンロードさえしない。たとえ一時的にダウンロードして、割引クーポンを利用したりしても、その後も活発に利用し続けてくれるかどうかは分からない。自社アプリを製作し、運用するには大きなコストがかかるが、コストに見合った販促効果があるかどうかは未知数なのだ。

スマホサイフ事業本部の荒井孝久氏
スマホサイフ事業本部の荒井孝久氏

現状で、〈スマホサイフ〉にご加盟いただいている企業の大半は、自社で独自にアプリも運用している大手企業だ」と明かすのはCCCマーケティングスマホサイフ事業本部営業部の荒井孝久・営業統括である。大手が〈スマホサイフ〉に加盟するのは、カードを持ち歩かずにTカードや楽天Edyを利用できる利便性に相乗りして、自社のポイントサービスに利用客を誘導する販促目的だという。

荒井 アプリはモバイルデータ容量を消費するので、あまり使わないアプリはダウンロードしたくないのが利用者の本音。もちろん、各企業のロイヤルカスタマー(優良顧客)はダウンロードするかも知れないが、各社は一般的なカスタマーにもアプローチしたい。そんなときは〈スマホサイフ〉のような(相乗りの)サービスが有効だ。

1つのサービスの中に複数のポイントシステムが同居する〈スマホサイフ〉は、多くのショップ、飲食店が集まって集客力を高めるショッピングモールと同じような販促効果が期待できるのだ。2017年12月現在、〈スマホサイフ〉に加盟している物販・飲食のチェーン店は19ブランド。その中で、外食企業は6ブランド(「モスバーガー」「つぼ八」「SHIDAX」「クリスピークリームドーナッツ」「一風堂」「北の家族」)を数える(中食の「ビアードパパの作りたて工房。」は除く)。このほか、Tカードが使える「ガスト」「バーミヤン」「とんから亭」などすかいらーくの各ブランド、「しゃぶ葉」(すかいらーくの子会社のニラックス運営)なども、〈スマホサイフ〉が利用できる外食ブランドだと考えられる。

■紙のポイントカードからの移行に〈スマホサイフ〉を活用

「一風堂」は従来、紙のポイントカードを独自に運用し、利用客から好評を得ていた。ポイントカードを自社アプリに切り替えることも検討したが、アプリへの相乗りにメリットを感じ、17年3月から〈スマホサイフ〉に加盟した。紙のポイントカードの利用客には、〈スマホサイフ〉内のポイントシステムへの移行を推奨し、移行した利用客には限定の裏メニューをサービスするなどのキャンペーンも実施した(ニュース記事参照)。移行は順調で、18年3月には紙のポイントカードを廃止し、〈スマホサイフ〉に統一する予定だ。

「一風堂」の事例のように、〈スマホサイフ〉を活用すれば、従来と同様のポイントシステムによるサービスを継続できるのに加えて、利用客ごとの来店・喫食動向を把握したり、各店舗から利用客向けに割引クーポンを臨機応変に発行するなど、自社アプリ並みのマーケティング施策が可能になる。自社アプリと比較すると課題になるのは、メールなどを強制的にプッシュ配信できないところ。〈スマホサイフ〉には多数の物販・飲食企業が加盟しているので、それぞれが自由にプッシュ通知を配信すると、利用客の不興を買うおそれがあるからだ。この点についても、「外食企業を中心にプッシュ通知の要望が多いので、システム変更も検討している」(荒井・営業統括)というから、改善の可能性もありそうだ。

〈スマホサイフ〉に加盟するには、加盟時にスマホに来店スタンプを押せる「電子スタンプ」を店舗単位で購入し、その後は月額数千円(×店舗数)の「電子スタンプ」運用費用を負担する。そのほかは、〈スマホサイフ〉の利用客数(会員数)×会員ID運用費用(発行時の一時金と月額費用)だけの負担となる。クーポンなどを何回発行しても、会員ID運用費用は一定だ。

会員ID運用費用は非公開だが、かなりリーズナブルな料率に設定してあるので、自社アプリを運用するよりも効率的なのはもちろん、磁気のポイントカードを運用するのに比べても「カード発行オペレーションや再発行・会員情報入力コストを発生させずに運用できる」(荒井・営業統括)ので有利だという。契約は最初は2年契約。2年後からは1年ごとの契約更新となる。スマートフォンにアプリをダウンロードして使う利用客の使用料は、もちろん無料(モバイルデータ通信料は負担)だ。

CCCマーケティングは〈スマホサイフ〉立ち上げ後、知名度アップの観点からも、大手の物販・外食企業中心に加盟店を募ってきた。今後は、大手ばかりではなく地域密着のチェーン店舗などにも拡販を進め、使い勝手の面も順次、充実させるという。

■導入事例■ 21店舗の規模でもアプリによる再来店でメリットが

中堅~中小の外食企業にも参考になるのが、「北の家族」(運営:パートナーズダイニング)の事例だ。全国に21店舗を展開する居酒屋チェーンの「北の家族」は17年1月に〈スマホサイフ〉に加盟。もともとポイントプログラムを実施していなかったため、〈スマホサイフ〉で初めて販促のための会員システムを導入した。

荒井 一定数の再来店が実現すれば、十分に費用対効果はあると見込んで、ご加盟いただいた。半年後のデータ検証で、来店客と接点を持ち再来店を促すツールとして効果が出始めているとの評価をいただき、今後もさまざまなキャンペーンにご活用いただく予定になっている。ポイントシステムとアプリを一気に導入して、アプリによる販促効果を実現した例だ。中堅~中小規模の店舗数の外食企業が〈スマホサイフ〉に相乗りするメリットは十分にあると思う。

写真・図版協力:CCCマーケティング

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