リーズナブル価格のアプリ構築・運営サービスが
外食企業中心に3700店舗に導入達成


これからはアプリ集客の時代だ――。そんな見通しから、GMOインターネットグループのGMO TECH(東京・渋谷、鈴木明人社長)は2014年9月から、専用アプリを比較的低価格で制作し、運用するインターネット経由のサービス〈GMOアップカプセル〉を販売開始した。当初は伸び悩んだものの、15年8月に導入店舗が500店舗を超えた頃から順調に導入実績を伸ばし、17年10月現在は約3700店舗への導入を達成した。最近では、外食店舗を中心に物販店舗やホテルなどの施設にも導入が広がっている。どのようなアプリ&サービスなのか。外食店舗にとって、どんなメリットがあるのだろうか。

■機能のパッケージ化で開発コストを大きく低減

スマートフォン(以下、スマホ)の急速な普及によって、インターネット上の情報にアクセスする手段は、ブラウザ(インターネット閲覧ソフト)からアプリ(ブラウザを経由せずに直接、企業などのサイトにアクセスする専用ソフト。スマホなどにダウンロードして使う)に移行しつつある。視聴行動分析サービスを提供するニールセンデジタルは17年3月発表の「Digital Trends 2016」(16年1月~12月の調査結果をまとめたもの)で、スマートフォン上でアプリとブラウザがどのように利用されているかを調査したデータを公開している。

これによると、スマホからの利用者数はアプリ5812万人、ブラウザ5574万人と同程度だが、1人あたりの利用時間はアプリがブラウザの5倍、1日あたりの利用回数も2.5倍となっている。スマホのヘビーユーザーにアピールし、比較的若いリピーター顧客を獲得するための手段として、アプリの有効性が増大しているのは間違いない。もっとも、一般の外食企業にとって、自社の専用アプリの開発・運用はこれまでかなり敷居が高かった。大手企業が開発・運用している専用アプリは、初期開発費に数千万円、運用にも年間数千万かかると言われている。中小~中堅の外食企業にはなかなか手が出ないコストだ。

そこでGMO TECHでは、将来の需要急増を見越して、アプリをパッケージ化して制作コストを大幅に低減し、インターネット経由のサービスとして提供することで、運用コストも最小限に抑えたアプリ制作・運用サービス〈GMO アップカプセル〉を開発し、14年9月から販売開始した。「さまざまな企業の提供しているアプリを見ると、機能はほぼ共通しているので、そうした共通機能をパッケージ化して提供している。導入する際には、この機能を店舗の活用方法や目的に応じ取捨選択して、変幻自在に活用できるのが強みだ」――こう話すのは同社O2O事業部営業部ダイレクトセールスグループの小寺真人マネージャーだ。

小寺真人マネージャー

〈GMO アップカプセル〉で提供できる主な機能は「店舗情報」「商品(注:メニュー)紹介」「スタンプカード」「クーポン」「プッシュ通知」「Webビュー(SNSとの連携機能)」「アプリ利用集計」など。「デザインテンプレート」「デザインカスタマイズ」の機能で自社の個性を活かしたデザインを選択し、カスタマイズできるし、管理画面から自社担当者がブログ感覚でアプリを更新・運用・分析することも可能となっている。外食チェーン店舗を展開するベンチャー企業では、社長が自ら更新・運用・分析を担当するケースもあるという。

■初期開発コストは20万円~。運用も月額5万円~でサポート

小寺 費用は初期費用が20万円から。店舗数などの違いによって、登録するコンテンツ量が違ってくるので、初期費用も変わってくる。20万円というのは、個店から数店舗の規模の外食店舗がパッケージをそのまま導入した場合の費用の目安。アプリ公開までの時間は1カ月半程度を見込んでいる。利用料金は月額で1万円から(個店向けプラン)。コンテンツ追加/編集やメールサポート、プッシュ通知配信を代行する「運用サポートプラン」も用意している。

何種類かの飲食ブランドを展開している外食企業であれば、最初に1ブランドに導入して運用を試みることも可能だ。50店舗程度の外食ブランドでも、初期開発費用は50万円前後でおさまるケースが多い。インターネット経由のサービスだから、自社でサーバーを用意する必要はないし、所定の利用料金さえ支払えば、スマホやPCのOSバージョンアップにも追加費用なしで対応してくれる。アプリの更新・運用は、自社で実施すれば無料。「運用サポートプラン」を利用しても、自社でゼロから開発する従来型のアプリ開発・運用サービスよりも大幅なコスト削減が実現するという。

                        

 

小寺 店舗数や業態によっても違うが、初期費用で100万円をはるかに超えるコストがかかることが分かって、アプリ導入を断念していた外食企業も多いのではないか。そういう企業が、当社の〈GMO アップカプセル〉に出会って、考えていた予算内でアプリを導入するケースが増えている。「運用サポートプラン」は店舗数と関係なく一定額なので、自社で実際にアプリを運用してみた結果、「運用サポートプラン」のほうが人件費を考えれば低コストになることが分かって、「運用サポートプラン」を追加した企業も少なくない。

〈GMOアップカプセル〉の提供する機能の中で、やや使い勝手が限定されているのは「来店予約」の機能だという。ただ、予約台帳サービス「トレタ」との連携も可能なので、来店予約の機能は他社サービスに任せるといった判断も必要かも知れない。その一方、〈GMOアップカプセル〉の強みとして前面に打ち出されているのは「プッシュ通知」「クーポン発行」「ニュース発信」を行うCRM(顧客管理・集客)機能だ。管理画面から、利用客1人ひとりのアプリのインストール日、アンケート回答の有無、最終来店日、最終起動日、来店回数、クーポン・チケット・スタンプの最終利用日・利用数・保有数などの「閲覧行動履歴」と「アンケート回答」の内容を確認・分析し、各人の活動・嗜好から利用客をグルーピングできる。そのグループごとに、きめ細かく「プッシュ通知」「クーポン発行」「ニュース発信」を実施できる。中でも「プッシュ通知」は、施設周辺にいるユーザー向けの「ジオプッシュ」、アプリ保有ユーザー全体に対する「プッシュ」、ユーザーグループ機能に基づく「セグメントプッシュ」の3種類を臨機応変に使い分けることが可能だ。

■導入事例■ 会員・ポイントカードを紙からアプリへ移行

「屋台屋 博多劇場」のアプリ

利用客向けに、従来は紙で運用していた会員カード、ポイントカードを、専用アプリに移行したいというニーズは大きい。「こだわりもん一家」「屋台屋 博多劇場」など5ブランドの外食チェーン店舗を東京・千葉・埼玉で展開する一家ダイニングプロジェクト(東京・芝公園)は各店舗の機器でポイントを付与する仕組みの会員カード(シール)を紙で運用していたが、16年10月から、専用アプリを導入して会員カードのアプリ移行に取り組んだ。17年9月までに、会員カードの8割がアプリ移行に成功し、近く会員カードを廃止する予定だ。アプリ移行の実施後は、会員のリピート率が大きく向上したという。当初の半年間は自社でアプリを運用していたが、運用の人件費のほうが割高なことが分かり、アプリ運用も「運用サポートプラン」に変更した。その後、同社では17年3月から、1000人以上在籍する社員・パート・アルバイト向けの専用アプリも〈GMOアップカプセル〉で導入している。

小寺 一家ダイニングプロジェクト様は、企業文化として、店舗でアプリをお客様に薦める浸透力が素晴らしかった。社員間で、お客様にアプリをどう薦めるかのノウハウを共有したり、アプリ情報をメニュー内に記載したり、POPチラシなどを作ってお客様にアピールするなどして、10カ月間で8割のアプリ移行を実現した。社員・パート・アルバイト様向けアプリは、従来から一家ダイニングプロジェクト様が運用していた「Web給料」というサイトを、アプリにつなげたもの。社員・パート・アルバイト様はこのアプリから自分の直近の給与額を参照できるし、各種の注意喚起を確認したり、接客表彰の結果や社内研修の様子などを自由に閲覧できる。社員・パート・アルバイト様向けアプリの活用によって、旧・「Web給料」を含めた社内ネットワークシステムの運用コストも低減できたと聞いている。

写真・図版協力:GMO TECH